自民党は27日、農地政策検討委員会(林芳正委員長)を開き、人口減少が進む中での農地政策の在り方について議論を始めた。農地集約や新規就農の促進に向け、地域の農地利用の将来像を描く「人・農地プラン」の在り方や、集落営農、兼業農家など多様な担い手をどう位置付けるかが焦点。会合では、同プランの法制化を求める意見が出た。5月中にも党方針をまとめる。
政府は昨年12月、農林水産業・地域の活力創造プランを改定。人口減や新型コロナウイルス禍を踏まえ、(1)各地域での担い手確保と農地の適切な利用の促進(2)農山漁村での所得と雇用機会の確保、多様な農地利用──に向けた施策を今年6月までにまとめるとした。林委員長は「5年、10年先をどうするかという議論。大きな方向性を出していかなければならない」と述べた。
会合で野村哲郎氏は、各地の人・農地プランについて「いい取り組みもあるが、机上(論)にとどまるところもある。魂を入れるべきだ」と述べ、法制化が必要だと強調した。
藤木眞也氏は、プランの「実質化」を目指した農地中間管理事業法の改正後も「プランはほとんど変わっていない」と指摘。担い手確保に向け、中心経営体だけでなく、兼業農家ら多様な担い手を位置付けるべきだとした。
一方、農地政策を巡っては、政府の規制改革推進会議が、農地所有適格法人の議決権要件緩和に関心を示している。
宮腰光寛氏は農水省が示した68法人の回答に基づく議決権要件の調査結果について「これくらいの調査で農地の大本の議論はしてはいけない。誘導するようなことなら間違いを起こす」と警鐘を鳴らした。
【2021年4月28日付日本農業新聞掲載】