能登半島地震の発生から明日で2カ月。2月上旬に被災地を訪ねた自民党の藤木眞也農林部会長代理(熊本県・JAかみましき元組合長)に、復旧・復興の考え方や2016年の熊本地震の教訓を聞いた。
──被災地を視察して感じたことは。
スピード感が一番、大事だ。農家が離農に傾く前に対応しなければいけない。移動に時間がかかるなど半島ならではの困難もあり、被災者の帰還や営農再開が進むか不安があるだろうが、JAには農家を励ましてほしい。岸田文雄首相も被災地の復興に全力で取り組むと宣言している。
──被害の全容が見えず、春の作業に不安を覚える人がいる。
被災地は稲作が中心だ。農地に通水できるか確認し、できなければすぐに復旧に当たる必要がある。熊本地震では、水路の被害を自力施工で応急復旧し、田植えに間に合わせた例がある。施工業者を待っているだけでは、時間がかかる。営農できない時間が長いほど、意欲は失われてしまう。
──復旧に向けた国の支援は十分に理解を得られているか。
激甚災害指定で農地復旧は国の補助が9割ほどに高まった。農機などの復旧も国の半額補助に加え県や市町の補助がある。自己負担は抑えられる。政府は白米千枚田の復旧にも決意を示した。千枚田が復興の象徴になる。
──酪農にも大きな被害が出ている。水の運搬なども負担となった。
可能であれば、空き牛舎に牛を移動させた方がいい。一時的に効率が悪くなっても、水などを毎日運ぶよりは楽だ。帰還できる状況になれば戻ればいい。熊本地震の際は県酪連がうまく仲介した。
──被災JAに伝えたいことは。JAグループの支援はどうあるべきか。
JAが前を向いて組合員を引っ張ってほしい。今とは状況が違う面もあるかもしれないが、熊本地震ではJAの購買事業などが伸びた。農機などを購入する例が増えるためだ。グループ全体で、復興に協力できればいい。
【2024年02月29日付日本農業新聞掲載】