JA全中などが13日に東京で開いたJAグループ基本農政確立全国大会では、道連役員やJA組合長ら北海道勢60人が参加し、日本の食料基地を守るための要望を訴えた。食料安全保障の強化に向けた政策反映へ、米では畑地化促進事業の予算確保、畑作では輪作体系維持に向けた総合支援、酪農では経営安定対策などを求めた。
米では猛暑の影響で白未熟粒が増加するなど情勢が厳しい中、後志管内JAきょうわの石田吉光組合長は「第一に価格転嫁だ」と要望した。「農家はよく生産者といわれるが、一般のサラリーマン以上の消費者だ」とし「資材から何から多くのものを消費している。価格転嫁が達成されないと、いつまでたっても手元に金が残らない」と述べた。
畑作物について、オホーツク管内JAしれとこ斜里の平田隆雄組合長は「テンサイでは褐斑病などの影響で糖度が上がらず心配している」と説明。「生産に見合う価格形成がされない限り、しっかりとした輪作体系ができない。農家は価格を決められないため、そこをしっかり協議してほしい」と求めた。
肥料価格高騰への対策が2023年度は十分でなかったとし「円安が進む中、さらなる資材高騰も予想される。検討だけでなく、しっかり答えを出すようにしてほしい」と力を込めた。
酪農産地、根室管内JAけねべつの北村篤組合長は「酪農・畜産にとってはこれからが要請の本番」とし「この2年、生産抑制しながら進んできたので、光が見える24年度の対策を」と要望する。
その上で「単発的な対策だけでなく、10年後の牛乳をどう生産していくか。北海道だけでなく日本の問題として、どうやって需給バランスを取りながら進めていくかなど、長期的な視点で話し合ってほしい」とした。
同日、北海道・東北地区JA代表者集会も開き、北海道からはJA北海道中央会の小椋茂敏副会長が意見表明した。自民党農林部会の藤木眞也部会長代理らに酪農・畜産の窮状を訴え「消費の動向(の改善)に一日も早く取り組まなければ、日本からおいしい牛乳や肉がなくなる」と強調。需給改善に向けて取り組む中、公平性を保つため現行の畜安法の検証・改正を求めた。
【2023年11月14日付日本農業新聞掲載】