【沖縄】沖縄県肉用牛経営危機突破生産者大会が27日、糸満市の南部家畜市場で開かれた。飼料価格など生産コストの高止まりが続く中、県内の子牛価格下落で再生産に必要な所得が確保できず、肉用牛経営が危機に直面している。現状を早急に打開し、農家経営の安定に向けた緊急支援対策の制度確立を国や県、畜産振興公社に強く訴えた。/ JA沖縄中央会など畜産関係12団体で構成する沖縄県肉用牛経営危機対策本部の主催。県内の繁殖農家ら約100人が参加した。
県内の子牛取引価格は9月、過去最低基準となるの45万円台となった。農水省の増頭奨励金によって飼養頭数は増加傾向にあるが、飼料高騰などコスト負担が高まり厳しい経営状況にある。生産資材の高騰や子牛価格の下落は、個々の自助努力の限界を超え、肉用牛経営を逼迫(ひっぱく)させているため、早急な支援対策が求められている。
要請として①肉用子牛価格下落に対する支援策の実現②子牛価格の引き上げに向けた販売促進活動の展開③持続可能な肉用牛経営の確立に向けた施策――を決議。出席した県選出の西銘恒三郎衆院議員と前農水大臣政務官の藤木眞也参院議員、照屋義実県副知事へ要請書を手渡した。
意見表明した石垣島和牛改良組合の比屋根和史組合長は「八重山地区は若い牛飼いが多く、今後も経営し続けられるような大胆な戦略が必要」と訴えた。
沖縄中央会の普天間朝重会長は「飼料価格などの高騰部分を価格に転嫁できておらず生産者は厳しい経営状況だ。現状を県民や消費者に周知し、スピード感を持って危機を突破していこう」と力を込めた。
【2023年09月30日付日本農業新聞掲載】