参院選後初となる臨時国会が3日、召集された。選挙戦を勝ち抜いた与野党議員が初登院し、決意を新たにした。農政経験が豊富な議員らは、食料安全保障への対応に意欲を示した。新人らは農業後継者の確保や有機農業の推進などを農政課題に挙げ、国政の場で力を尽くすことを誓った。/ 全国農業者農政運動組織連盟(全国農政連)の推薦を受け、比例代表で再選を果たした自民党の藤木眞也氏は「食料安全保障の確立をしっかり前進させる」と意気込んだ。
食料安保政策について、藤木氏は「喫緊の課題、中長期的な課題を整理して議論し、できるだけ農家の負担を軽減する努力をしていく」と語った。生産資材高騰の中での農業経営の安定に向け、当初、補正両予算の拡充や食料安保を巡る国民負担への理解を広げる重要性も強調した。
米どころ、新潟選挙区で初当選した自民党の小林一大氏は、議員バッジを胸に「51万票を超える支持を受け止め、この重みを仕事に生かしていきたい」と表明した。
小林氏の地元では「米価が落ち込んで大変な状況の中、肥料や飼料が高騰し、現場を苦しめている」とし、「(農家の)皆さんに寄り添いながら、対応できるよう頑張っていきたい」と決意。人口減少など「地方の課題を一つ一つ解決していく」とも強調した。
比例代表で当選した公明党の上田勇氏は、2017年衆院選での落選から5年ぶりの国政復帰に笑顔を見せた。党農林水産部会長の経験も踏まえ、農業政策は「大きな転換点だ」と訴えた。
資材高騰を巡り、飼料や肥料での海外依存の現状に、上田氏は「きちんと見直す必要がある」と指摘。飼料については、国内での増産を推進すると同時に、飼料穀物の調達先国を分散させるなど「戦略立てをやっていかなければならない」との考えを示した。/ 参院選で野党が苦戦する中、自民党候補を圧倒した立憲民主党の田名部匡代氏は「食料安全保障のために担い手をしっかり育てていくのが今後10年、重要な政策課題だ」と訴えた。
同党の政策に関し、田名部氏は「戸別所得補償制度を訴えてきた。他国のように直接支払制度をしっかり構築し、安定的な制度を作るべきだ」と強調。党勢の立て直しへ「しっかり総括した上で、厳しいときこそ支え合う、補い合うのが大事」だと力を込めた。
民主党政権時に農相を務めた郡司彰氏の後継として、茨城選挙区から初当選を果たした無所属の堂込麻紀子氏は「生産者の皆さんの思いを国政に届ける役割を果たしたい。皆さんと意見交換をしながら進めていきたい」と決意を述べた。
堂込氏は、農業が盛んな地元・茨城でも「後継者不足」が大きな課題だと指摘。「農業により関心を持ってもらい、末永く従事できるよう取り組みたい」と意気込んだ。
比例で初当選した参政党の神谷宗幣氏は、そろいのオレンジ色の服を着た党員に出迎えられながら登院した。重点政策に「農薬や肥料、化学薬品を使わない農業」を掲げる同党。神谷氏は「1次産業のバックアップを具体的に提案したい」と力を込めた。
立民議員らが主導する有機農産物などの学校給食への利用を進める「ローカルフード法」制定へ、神谷氏は「協力して 一緒に提案し、地域に貢献できれば」と意欲を示した。
【2022年8月4日付日本農業新聞掲載】