討論する中家会長(左)と枝元事務次官(中)、藤木氏(8日、東京・大手町で)
JA全中が8日に開いた「JAグループ・農政推進セミナー」で、国の「みどりの食料システム戦略」の実践を巡り、中家徹会長らが意見を交わした。生産現場への丁寧な説明や意見交換の必要性を確認。食料の安定供給や持続可能な農業に向け、技術導入への支援なども重要だとする声が上がった。
自民党の藤木眞也参院議員は、生産現場で同戦略の野心的な目標に不安の声があると指摘。「取り組みに対する理解促進を進めていくことが大事だ」と訴えた。スマート農業など技術開発の促進や、導入の低コスト化への支援の必要性も強調した。
中家会長も、同戦略は「現場との乖離(かいり)が大きい」とし、意見交換や丁寧な説明を要望した。「戦略の実践が農業者の安定的な経営、持続可能な農業につながることが大前提」とし、産地のさまざまな工夫を横展開したい考えを示した。
農水省の枝元真徹事務次官は「今後の農政課題について」と題して講演した。食料安全保障の柱の一つである国内農業生産の増大が気候変動などの課題に直面していると説明。同戦略はこうした課題に対応するものだとした。
枝元次官は、同戦略では技術革新に加え、可変施肥などの既存技術も環境負荷の軽減に役立つことを強調。「環境負荷の観点で自身の営農活動を見直してみることが大事だ」と述べ、既存技術を集めたカタログなどを紹介した。
【2022年3月9日付日本農業新聞掲載】