岸田文雄首相は10日の参院予算委員会で、ウクライナ情勢を受けた穀物や肥料原料の価格高騰を巡り、「わが国の食料供給へのさまざまな影響が想定される」との認識を示した。「肥料や種苗などの生産資材の安定供給にも取り組んでいかなければいけない」とも述べ、堆肥の活用など化学肥料の利用低減や、官民による種苗の開発・供給体制の構築を課題に掲げた。立憲民主党の川田龍平氏への答弁。
首相は、食料の安定供給へ、主要穀物の輸入先国と継続的な対話や、化学肥料原料の代替国からの輸入推進も引き続き必要だと指摘。「基本的にはできる限り(食料を)国内で生産し、安定的に確保していく考え方が重要だ」とも述べた。
金子原二郎農相は、食料安全保障確立に向け「中小・家族経営など多様な経営体」が「重要な役割を果たしている」と述べた。自民党の藤木眞也氏への答弁。藤木氏は「大規模農家だけでは農地がフル活用できない」とし、中小・家族経営や半農半Xなど多様な担い手で農地を維持し、食料安保を確立する必要があると訴えた。
金子農相は、農業の持続的な発展には「効率的かつ安定的な農業経営を育成することが重要だ」とした。中小・家族経営などは地域社会の維持にも重要とし「営農継続が図られる必要がある」と述べた。
【2022年3月11日付日本農業新聞掲載】