自民党の水田農業振興議員連盟(小野寺五典会長)は3日、米の需給や価格の安定に関する緊急決議を採択した。2021年産米の需給や価格を踏まえ、米穀周年供給・需要拡大支援事業を含む「柔軟かつ的確な対策」について具体的に検討するよう政府に求めた。出席議員は、21年産の厳しい販売環境への対応を議論した。
決議では、22年産に向け「販売環境を変え、作付け転換に取り組んできた産地の努力に報いることが必要だ」と強調。21年産の作付け転換に対しては、産地交付金を含む水田活用の直接支払交付金の十分な財源確保が必要だとした。
議連に出席したJA全農の高尾雅之常務は、11月以降の20年産の持ち越し在庫が42万~45万トンとなる可能性があり、その場合は前年の約2倍に上ることを報告。21年産の持ち越し在庫は産地・銘柄によって異なり業務用を中心に多いとした。
JA全中の馬場利彦専務は、持ち越し在庫が多い産地ほど概算金の下げ幅が大きい傾向だと説明。米穀周年供給・需要拡大支援事業の拡充など「柔軟かつ的確な対策の実現に尽力をお願いする」と述べた。
議員からは21年産の厳しい販売環境への懸念が相次いだ。藤木眞也氏は概算金が低水準だった地域について「中食、外食に利用される産地だと推察する」とし「需要減はコロナの影響。(在庫は)一定の処理をしないと、販売環境の改善につながりにくい」と述べた。
野村哲郎氏も「問題は在庫だ」とし、20年産の在庫の多さが21年産の価格に影響していると指摘。コロナ禍の影響に対する緊急対策を求めた。
舞立昇治氏は、米価下落を緩和しなければ産地の営農意欲が減退するとし「経済対策の中で、もう一段の米への追加措置が必要だ」と述べた。
【2021年9月4日付日本農業新聞掲載】